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by epiplectic3110
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現在 過去 未来
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『純粋な現在とは、未来を喰らっていく過去の捉えがたい進行である。
 実を言えば、あらゆる知覚とは既に記憶なのだ。』
       (アンリ・ベリクソン 「物質と記憶」より)

導火線の火花のような”点”に過ぎない現在
僕たちはそれを知覚でトレースしながら、厳密に言うと“一瞬前の出来事”を”現在”と認識している。

つまり人間は、いかなる瞬間においても過去に生きているのだ。

トレースされた記憶の外積の中に、永遠という瞬間を見いだせたのなら、それはどんなにか幸せなことだろう。

今日この一瞬に あなたがあなたの永遠に再会できますように
そして 願わくばそれを共有できますように

良い旅を 親愛なる   へ
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# by epiplectic3110 | 2005-07-18 01:02 | | Trackback | Comments(3)
ユビキリの約束
あの日は 寒かった

雑踏にまぎれる 新宿駅の改札
学ランの上に黒いロングコートを羽織った僕と
マフラー以外に暖かそうなところがないセーラー服姿のあなた

あれは確か あなたが医学部をあきらめた日の夜だった

僕が教室に行くと あなたはぽつんと一人 座って泣いていた
僕はあなたが泣き終わるのをまって そっと暖かいミルクティを置いた

“ねぇepiさん わたし 医学部あきらめるよ”

そういってあなたは 大好きなミルクティをすすった
成績とお金の関係で 歯学部への転向を持ちかけられたあなたが
悩みに悩み抜いて 出した結論だった

そうか 残念だ とだけ僕は言い
11時を過ぎた四谷の街を 二人で帰った

電車の中で 二人は黙ったままだった
なにを言えばいいのか 分からなかったのだ

混み合った電車の中で
あなたは僕によりかかり
僕の顔を見ないように つぶやいた


“ねぇ epiさんはいいお医者さんになってね”




新宿駅の小田急改札
別れ際にあなたはこう言った

“私はS大の歯学部に行く
 epiさんはM大の医学部に行く 約束だよ?”

僕は分かったと言い 右手を差し出した


ユビキリだ キミはS大の歯学部、僕はM大の医学部


あなたは少しだけ笑って いいよ といった
そしてユビキリした 小学生のように

”ゆびきりげんまん うそついたらはりせんぼんのーます ゆびきった♪”

別れ際 あなたは晴れ晴れとした顔をしていた




あれから六年たった
僕はM大の医学部に進み、あなたは同じM大の歯学部に進んだ

少しだけ違ったけれど 約束は はたされた

二人で歩いた入学式への道のり
散り始めた千鳥ヶ淵の桜は まぶしかった

あなたは忘れたかもしれないけれど
僕らは別々の 約束の道を歩んでいる

僕はあの夜のユビキリを忘れない
これからも ずっと
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# by epiplectic3110 | 2005-07-14 01:04 | | Trackback | Comments(5)
日常
今日も電車に揺られ 小説を読む
物語を消費する そして歩き続ける

white cort/stethoscope/necktie
脆弱な心を白い鎧に包んで、心に純白のメッキをかける

ふと思う ネクタイは元々兵装から発達したことを誰が知るだろう?

死んだような目でカルテに書き込む

7/11
S) 足の痺れがとれない 呼吸は安静にすれば楽 cough(-)
NSAID外用でpain全体的に↓だがやはり右胸壁に違和感あり
気管支鏡での生検はやはり嫌だとのこと

O)fever(-) pulse86/整
Conj P(-) Conj b(-)
LS:no rale 右上肺野呼吸音減弱
HS:no murmur
abd:flat&soft  mod


今日も変わらない日常
A/Pは書かず ステーションを去る


「私は八人兄弟の長女だったからもともと弱い人間じゃない」
「でもね こういう歳になると悲観的に考えてしまうんだよ」
「あんたのような若い人にはわからんだろうけど」

突然浮かんでくる言葉”お察しします”
この言葉は相手のことを察しきれない時にのみ使う言葉であることを
僕は知っている

そして僕は彼女の苦しみを理解できないでいる

今日、処方にSSRIが追加された


ステーションをあとにして上る階段
彼女の上れない階段を一段抜かしで上っていく
扉を開けると、七月の暴力的な日差しが瞳孔を痛めつける。


ポケットには聴診器・ペンライト・ペンとメモ用紙・手帳
ステーションに遅くまで残っていると ナースが声をかけてくる

「せんせ 今日当直ですか?点滴お願いしてもいい?」

学生なので無理だと伝えると
僕のネームプレートをのぞきこんで

「そんな格好だから先生かと思ったわよw」
と 笑いながら去って行く。

そうですね と呟き ラボ出ししたデータを温度板に書き込んでいく


ここ数日間 心ここにあらずという感じだね と昼食中に友人は言う
合コンの話をしながら食べる山菜そばは
他人事のように胃袋に落ちていく

心休まらない班員との生活
音楽と物語を消費しながら耐え抜く毎日

これが自分の望んだ将来だったかは、今となっては分からない
医者という仕事がよく理解できないまま 今日も過ごす


四年間、なんの勉強もしていない
疾患のことなど まるで分かっていない
そう痛感しながら、このまま一年過ごしてしまうことを予感している。

どうして 自分はこの仕事を選んだのか
どうして あんなにも無邪気に突き進んで来れたのか

なぜ検査を受けない患者は邪険に扱われるのだろうか
不定愁訴は、ひとまとめにくくられていいのだろうか


わからないことが 多くなってきている
そして明日もまた 物語を消費しながら
電車に揺られ カルテに書き込む

僕の日常
心の表面を滑っていく 夢見た将来

今の僕に 助言などしないでくれ
あなたには わかりっこない
この孤独と不安を

今の僕に 優しい言葉などかけないでくれ
あなたには わかりっこない
この苛立ちと悲しみを

それは「お察しします」と 同じことなのだから




※この文章に掲載された患者さんは完全に架空の人物であり
 実際の個人に関する情報を漏洩するものではありません
 誤解なきよう
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# by epiplectic3110 | 2005-07-12 02:24 | | Comments(0)
desire
欲するものを得ないでは生きられず、
そのためには、時も快楽も命も犠牲にする

それが”恋”ならば
私は正真正銘恋しているのです。

ラクロ(Pierre Choderlos de Laclos 1741-1803)
「危険な関係(上)」


epiはいったい何に恋をしているのか?
そう問うてみる

”恋”というのも”愛”というのも、
自己と客体を離ればなれに認識するだけでなく、
媒介としての客体に自己投影することによって、
行為的に自己をより深く理解するために過程なのかなと思ったりする。
ヘーゲルですな

「私は関連する内容であると同時に、関連することそのものである」と

そう思った時に、
いったい自分は何に恋をしているのかと自己問答してみると、
自分もしくは未来の自分に恋をしているのだろうと思える。

導火線の火花が散る瞬間のような現在という点を生き続ける幻覚の中で、実は人間は過去と未来の中にしかすむことは出来ない。

そんななかで自分から激しく欲するのは 
現在の客体的対象である恋人ではなく、

その客体に関係する過去、
そして未来なのだろうと思うと、

この文章はまた
味わいの違うものになってくるような気がしてくる

残酷な 文章だ
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# by epiplectic3110 | 2005-07-10 01:57 | | Trackback | Comments(13)
Be Mine
ある人の日記を見て 
スピッツの”冷たい頰”を久しぶりに 聞いてみた。

久しぶりに 涙が流れた。

あぁ こんなところに 隠れていた
悲しくて 切なかった あの時の心

真空パックして冷凍庫のすみに入れたまま
こちこちに忘れていたはずだった

「あなたのことを ふかく愛せるかしら」

解凍された感情は
やがて摩耗し 角がとれ 風化していくだろう

だから 見つけられてよかった
そう 思った


「さよなら僕の可愛いシロツメクサと」

シロツメグサ それは幸運のシンボル

おのおのの葉に意味があり、
「名声」 「富」 「満ち足りた愛」 「素晴らしい健康」
という願いがそけぞれかけられている。

四枚そろって「True Love(真実の愛)」



そして、花言葉は "Be Mine"

「わたしのものになって」
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# by epiplectic3110 | 2005-06-28 00:46 | | Trackback | Comments(13)