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by epiplectic3110
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君だけを〜スピッツSSバトン〜

スピッツショートストーリーバトン
誰からのご指名かは秘密☆

自分の好きなスピッツの曲で 
お話をかきましょーという企画
当然 実話ではないです

もう一度言いますが 実話ではないです はい


本当は 「君が思い出になる前に」で書こうと思ったのですが
つらい失恋の後に「君が思い出になる前に」と美しい声で歌ってくれた同学の友人が読者さんにいるのでwちょっと痛すぎて書けませんでした。

なので ちょっぴり実話エピソードをちりばめつつ
創作モノで終わらせてみました〜

いや あくまで創作ですから そこんとこよろしく

いってみよ〜
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by epiplectic3110 | 2006-03-31 02:19 |
櫻下歌
小高い丘の上にあるこの公園には
ベンチが一つと街灯が一本
そして 桜の木が一本

ベンチに腰掛けると
街が一望でき

見上げると
見事な桜が咲き乱れている

見渡す限りの雪景色
先ほどからまた ちらりちらりと降り始めた雪の中
僕の腰掛けたベンチにも 雪が積もりはじめた

見上げると相変わらず 満開の桜
灰色の雲と よくマッチしている

この街は常に夜
満月と雲と雪 そして満開の桜
なにかが ゆがんでしまった街

不釣り合いなほど大きな月が
雲の切れ間から顔を覗かせ
空からは 尽きること無く 雪が降り続ける

「Shirokanipe ranran pishkan」

口を開くと こんな歌が口をついて出た
知らない言語 途絶えてしまった言葉

「konkanipe ranran pishkan」

ベンチの下から 別の声で歌が聞こえる
のぞき込むと そこには黒猫がいた
長いしっぽを優雅に操り
調子をとるようにして歌っている

「この歌は どういう意味なのですか?」

とたずねると

「梟の神の歌 銀の滴降る降るまわりに」

という 確かに見上げると
舞い落ちる雪は 銀の滴のようだ

「あなたは梟の神だったのですか?」

とたずねると
鼻を鳴らしてそっぽをむかれた

どこかゆがんだ世界
寒くないのに雪が降り
雪が降るなか 桜が咲き
雲の中に 月が浮かび
猫が言葉を話す

遠く 灰色の街をながめる

「ここは どこなんだろう?」

黒猫はいった

「ここは お前自身」
「お前の心 お前の体 お前の前世 すべてがここにある」

忘れたのかね?といった風に見上げる 猫

「ここに長くいてはいけないよ」
「こころが焼き切れてしまう」

そう 言い捨てて 猫は去っていく

きっと
この街自体も もう長くはないのだ

雪と共に舞い落ちる桜の花びらを手に
僕はベンチから立ち上がった
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by epiplectic3110 | 2006-03-30 11:49 |
金魚
ぼんやりと金魚鉢を眺めている
日曜日の昼下がり
食べかけのパスタがひからびていく

わたしは思い出している
昨日の夜のことを

あなたは帰っていった
飲みかけのシングルモルトは
氷が溶けて 水割りのよう

金魚が水なしで生きられたら
金魚鉢はいらない

何も感じず
誰も愛さず
呼吸出来たのなら

ずっとそばにいられるのに

わたしの金魚鉢は
いつ壊れるのか



***
BONNIE PINKの「金魚」を聞いていたら
こんな情景が浮かんできた

帰りの電車のなか
すこし 悲しい気持ちになった

映像化するなら 井川遥あたりがぴったりかなぁ
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by epiplectic3110 | 2005-12-20 16:09 |
交差する時の中で
小学校の頃 姉と喧嘩をした。
今となっては理由は思い出せない。

大げんかしたあげく、夜中に家から放り出された。
多分誰からみても自分が悪かったのだろう。

放り出されたのは自分一人だった。

泣きながら家のインターフォンを鳴らし続けたが
扉を開けてくれるはずも無く

しばらく途方に暮れて 星の輝く空を眺めた。


そう あれは九月だった。
蒸し暑くてヤブ蚊が沢山飛んでいた。


なぜ自分だけ出されたのか
親は自分の事が嫌いになったのだろうか
もう二度とこの扉は開く事は無いのだろうか

そんな事を考えているうちに 悲しくなり
やがてヤケになってきた。


もういい 家出してやる
そしてうんと心配すればいいんだ。
外に放り出した事を後悔すればいいんだ。


僕はそう決心して、駅に向かって歩き出した。

突然放り出されたのでお金もない
当然電車に乗る事も出来なかったし
切符を買えるかさえ怪しかった。

でも、駅に向かって歩く事は重要だった。
駅の周りは色々な大人がいる。

当時の自分にとって駅周辺は
子供が行ってはいけない場所ランキング第一位だった。

悪い大人に捕まってやれ
不良にからまれろ
おまわりさんに捕まれ

そう思って駅に向かって歩いた。


当時、駅の近くにはコンビニは無く
出来たばかりの駅前ハイツという大型マンションと
宇都宮病院と言う古めかしい病院
寂れたロッテリアとタクシー乗り場
訳の分からない飲み屋多数があった。


それは二十分あまりの道のりだった。
僕は駅前まで行くと、目的を失った。

ついたところで何をするかは考えていなかったからだ。

仕方なく、駅前ハイツの棟と棟の間にある広場に向かった。
そこにはベンチがいくつかあるし、普段かくれんぼをしていたので
いくらでも隠れる場所はあった。

親が捜しにきても絶対に逃げ通す事が出来る自信があった。


駅前ハイツの広場にたどり着くと
ベンチには先客・・・若い男が一人 ぽつんと座っていた。


紺のズボンと黒のジャケット 白いYシャツ
手には小説と缶コーヒー


闇に溶けてしまいそうなその男は
片手で器用にページをめくりながら薄暗いベンチで読書していた。

時々思い出したようにコーヒーを飲み
カサリとページをめくった。


近くにあった街頭時計をみると 時刻は十二時近く

しばらく躊躇したあとに その男の前を素通りし
その先にあるツツジの木の下(秘密基地と呼んでいた)に向かう事にした。



てくてくと歩いてその男の前を通り過ぎると 男は突然声をかけてきた。
「ねぇ ちょっとそこのキミ」

誘拐犯とか痴漢だったらどうしようという思いがよぎる。

立ち止まって振り返ると
男は、さも通りがかりの友人に声をかけるかのように話しかけてきた。

「この辺に自動販売機ない?コーヒー切らしちゃって」

拍子抜けした。
学校で教えられていた誘拐犯は
「おかあさんが捜しているから一緒に来よう」とか言うはずだった。

当時の自分は何の疑いも無く自動販売機の場所を答えた。
そしてその男がよくわからないようだったので自動販売機まで連れて行った。

(今思うとかなり危険な事である。
 自分が誘拐する時はこの手を使おうと心に決めている。)

男はコーヒーを買い、お礼に三ツ矢サイダーを買ってくれた。
そしてそのあと、男と並んでさっきのベンチに腰掛け
サイダーを飲みながら男と話した。


キミはこんな時間に何をやっているの?と聞かれたので
家出したんだ もう家になんか帰らないと答えた。

男はそっと遠くを見て そうか そりゃたいへんだ と呟いた。


なんで家出をしたのか聞いてきたので全部話してやった。
姉と喧嘩した事 怒った勢いで近くのマヨネーズを姉にかけた事
怒られたあげく放り出された事

男はうんうんとうなずきながら
時に吹き出してくっくっくと笑った(特にマヨネーズのことについて)

僕は話しているうちに
喧嘩の理由も家出の理由もどうでもいい事のように思えてきた。

自分がやった事は悪い事で
喧嘩の原因は本当に些細な事だった。

話しているうちに言葉は勢いを失い
しばらくすると、すっかり話す事は無くなってしまった。


話す事が無くなったので今度は聞いてみる事にした。
「おにーさんはなんでここにいるの?」と

すると彼はこう答えた。

自分はお医者さんの卵で
あと二年したらお医者さんになる。

今はそのために病院で勉強しているんだけれど
自分が世話していた患者さんが今日死んじゃったんだ と

今日は悲しい気分だから
いまはこうして外で本を読んでいるんだ と

寂しそうな笑顔で答えた。



僕はどう答えていいかわからずにただ黙っていた。
当時の僕には人の死というのはよくわからなかったし
遠く離れた世界の出来事で 自分には関係ない事だったからだ。

しばらく黙ってサイダーを飲んでいると
男はコーヒーを飲み終えて 立ち上がった。

「バイバイ少年 話してくれてありがとう」

そういうと 彼は駅の方向に歩いていった。

どうしていいのかわからずに ただ男の後ろ姿を眺めた。

家出は こうしてあっけなく終了した。



その後、家に帰った自分は 姉にゴメンナサイを言い
布団に潜り込んで寝た。

そしてあの男の事を考えた。

よく理解できなかったけれど
あの男の言っていたそれは ひどく悲しい事に思えた。




あれから月日が経ち、僕は医学部に入学した。

そして今、あの男と同じ学年になった。

あのときあの男が話していた事が 少しだけ分かるようになった。
そしてコーヒーを飲み、夜の公園で小説を読むようになった。

駅前は様変わりし、町並みは変わったけれど

広場にあるベンチと闇夜にうずくまる自動販売機は
今も変わらず存在している。

そのベンチに座って小説を読むとき
いつもあの男の事を思い出す。

きっと それはひどく悲しい事だったのだ。

そして今日も、家出少年が通りがかるのを待ちつつ
夜空の下で、小説を読む。

あの日の自分に再会できることを信じて
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by epiplectic3110 | 2005-06-15 00:53 |
誰がために雪は降る
キミは窓辺に腰掛け、外を眺めている
はいコーヒー そこにいると寒くない?
マグカップ片手に声をかけると
キミはほほえんで首をふる
「だいじょうぶ」

ほんのりと道を照らす街灯
隣の家のささやかなイルミネーション
白くなっていく畑

しんしんと雪が降る 夜
東京でも結構つもりそうだ

レコードに針を落とし
ソファでゆっくりとコーヒーをすすりながら
そっと窓辺の彼女を眺める

脳内で
“外を眺める彼女を眺める”
などと一人遊んでみて、くだらないと苦笑する

そんなことには気付きもせず
キミは一人 目を細め、外を眺めつづけている
ぬるくなりはじめたコーヒーを、ようやっと一口飲む

真空パックされたような
淀んだ時の流れを
振り子時計が刻んでいく


雪はずっと見ていてもあきないよね

そう声をかけると
キミは外を見たままこういった



「この雪は 誰のためにふったのかしら?」



え?と聞き返すと

「この雪は誰のためにふったのかしらね」
と繰り返す


すこし笑いながら、僕はこう答える

不思議なことを言うね
雪は誰のためにも降らないよ ただ降るだけだ

するとキミは
「そうかしら?」
といって黙り込んでしまう



怒ったかなと思い
じゃあ誰のために降ったというんだい?とたずねる

するとキミは僕の方を見た後
視線を落とし
「少なくとも私のためではないわね」
と答えた

「今の私には 私のための雪は降らない…」

その横顔は 少し悲しげだった
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by epiplectic3110 | 2005-01-19 02:53 |
顔のない男
最近ね 変な夢を見るの

そう 夢 しかも同じ夢を何回も

それがね 顔のない男が出てくる夢なの

ううん ちがう

首がないとかのっぺらぼうとかじゃなくて

顔がないの 空間が切り取られたみたいに

ぽっかりと顔がないの

ね?ちょっと怖いでしょ?

それでね 夢の中で私はナースステーションにいて

その男はカウンター越しに私のことをじっと見ているの

そう 顔のない顔で じっとね

ちがうんだよなぁ 幽霊とかじゃないんだよね

もっと質量があるって言うか ちがう 上手く言えないなぁ

まぁそんな感じなの うん

それでね あんまりにも頻繁に見るからすごく気になっていたの

あの人は誰だろう

何を言いたいんだろうってね

え? あぁ 確かにそうね

何で何か言いたがってると思ったんだろうね

でもなにか…こう 何かを伝えたいって感じなのよね

分かるかなぁ  まぁいいや

それでね しばらくしてあることに気がついたの

その人の夢を見た後、必ず患者さんに何かが起きるの

急変したり…ね あんまり良くないことが起きるの

それに気がついてからなんだか怖くなったの

その男は死神なんじゃないか って思えてね


で、ある日ね その夢のことを先輩に話したの

こんな夢を見るんですよ〜 なんなんでしょうね って

そしたらね 「ひょっとして…」とか言いながら

その先輩がその男の特徴をばんばん当て始めたのよ

髪はどのぐらいでどんな服で銀のネックレスをしてて…ってね

びっくりするじゃない?

そしたらその人はこう言うの

「あたしはその男をしっているよ」 って

先輩もそんな夢を見るのかと思ったらそうではなくて

その人を直接知っている って言うのよ

気になるでしょ?そしたらね こんな話をしてくれたの


もうずっと前のことなんだけどね

ある研修医が当直しているときに

一人の若い女性が運び込まれたの

急性硬膜下血腫…飛び降りだったらしいのね

即オペで血腫は取ったんだけど脳挫傷がひどくてね

オペの後もどんどん悪化していったの

その研修医は一晩付きっきりで患者さんを診たんだって

でもどうにもならなくてね

明け方にその人は亡くなってしまったの

きっと自分でもう帰らない道を歩いていってしまったのね…

研修医は落ち込んでね

目を真っ赤にしながら 明けで帰ったんですって

その帰り道でね その研修医は亡くなってしまったの

帰りの車で事故にあって…



それ以来ね 

この病棟ではいろんな人からこういう話が出るんですって

”患者さんの急変前に何かが起きる”って

あなたもその人の夢をみたのかもね って


死んでもなお患者さんが心配で

患者さんが危ないのをみんなに知らせたかったのかもねって


そうその先輩は言っていたの

変なお話でしょ?

でもね、それ以来あの夢は怖くなくなったの

なんで私だけがその人に会えるのかは分からないけれど

あなたにまかせたよって そういわれた気がするのよね

うん そうそう

あ…ごめんね 私ばっかり話しちゃって

ねむい?だいじょぶ?

明日早いんだ ごめんね

そかそか ごめん もう切るね

またね…きいてくれてありがと お休みなさい
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by epiplectic3110 | 2004-12-11 12:32 |